ウォンバットのうきうきくらし手帖

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「かわいい」への抵抗と変身願望のその先



こんにちわ。水野アキです。

フィールコミックス『13月のゆうれい』(高野雀・作)が完結しました。

もっと主人公たちを見ていたかったので少しさみしい気持ちです。

読後にあふれてきた色々な気持ちを書いていきたいと思います。ネタバレ含みます。 

13月のゆうれいのざっくりとしたあらすじ

主人公ネリは他人から「かわいい」と言われることにどうも抵抗のある20代の女性。

「好みの男子がいるよ」と誘われた合コンに向う途中、双子の弟キリとばったり数年ぶりに遭遇したらキリは女の子の姿で、しかもネリが絶対にしないようなかわいい洋服に身を包んでいました。

何が起こったかわからないまま、参加予定だった合コンに参加したら「好みの男子」周防くんはネリに向かって自分には片思いの子がいて、その子はネリにそっくりとの発言をします。周防くんは双子の弟・ネリのルームシェア相手だったのです。

キリは女の子になりたいわけではなく、女の子の格好がしたいだけ。周防くんは男の子が好きなわけではなく、女の子の格好をしたキリが好きなだけ。

周防くんに一目惚れをしたキリに見た目のそっくりなネリは「かわいい」にものすごく抵抗があってゴツい革ジャンにパンツ、ゴツいブーツを好んで着るような女の子。3人の関係は今後どうなっていくの??

ネリの「かわいい」への抵抗

大筋は上のようなお話なのですが、ネリの「おんなのこ」への抵抗がそりゃもうすごいのです。シフォン生地やフリルなどのいかにも女の子らしい服装を「ヘドが出る」とか言っちゃってる。

再開した双子の弟(顔がそっくり)であるキリはそのヘドが出るような服装をしていて、そのキリの女装姿にホレている男子が現れるものだからネリは相当混乱したのではないかと思います。

ネリは何でそこまで他人からかわいいと言われたり、女の子扱いされることに対して抵抗があるのかは読み進めるとなんとなくわかります。

ネリが自分の価値基準だと思っているものが実はそうではなくて、他者の評価に自分の価値をゆだねてしまっているんです。そんで、他者の評価をそのまま受け取るのではなく自分の固定観念のフィルターを通して受け取っている。

「かわいい」=弱っちい、なめられている、無力みたいなイメージを持っていて、それを他人にあてはめられるのが嫌だし、そんな存在に自分がなるのがイヤ。


どんな服装をしていてもそのままの自分を見て評価してほしい。好きな男性からかわいいと言ってほしい。

世の男性はエスパーではないのです

そんなこんなで色んな感情をこじらせているネリなわけですが、そんな感情は何も言わずに相手に伝わることもなく、意中の男性ともめたりもめなかったり、ぎくしゃくしたりしなかったり。

言っても嫌われることなんてないんだからもっと素直に言っちゃえばいいのに!と読んでて思いますが、実際そうもいかないのもわかるからものっすごくリアルでした。 

変身願望の先に

ネリはおそらく、そのままの自分を受け入れてもらいたいという願望はあるものの、自分を変えたいという願望もあったように見えます。

ネリ自信が自分を受け入れられた瞬間のシーンがわたしは兎に角大好きで。

「かわいい」の象徴であるふわふわしたお洋服やそれを着る自分を心から受け入れられた時、他人から「かわいい」と評されても抵抗なく受け入れられた時、ネリを捕えていたネリ自身がかけていた呪縛から解かれたのだろうなぁと思いました。

ストーリーの中では先のことまで描かれていないので想像するしかないのですが、ネリとキリに幸あれ。

それと、超個人的な願望ですが、コミックス1巻分くらいで各登場人物の読み切りが読めたら幸せだなぁと思っています。すてきな作品に出会えてしあわせです。高野雀先生ありがとうございます。

 

 

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◆この記事は水野アキが書いてます